星にならなかった河童 第六章 星になった河童/板谷みきょう
 
翌朝、雨は止んでいた。

橋は残り、村も残った。

橋のたもとに、草履が一つ落ちていた。
長老はそれを拾い上げ、言った。

「河童が、星へ行った跡だ。」

河童は村を救った。

河童は星になった。

そう語ることで、
誰も罪を持たずに済んだ。

草履の中に、銀色の小さな欠片があった。

長老はそれを、そっと掌に隠した。

泣こうとする者には、
「誇りに思え」と言った。

それが、
村を保つための、
唯一のやさしさだった。

やさしさは、
いつも真実よりも軽く、
扱いやすかった。
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