すすき野原の物語(境界を封じる釘)/板谷みきょう
 


「棟梁、祠を建てろ。ただし、“祀る”ためじゃない。“封印”するためだ。影が拾い集めた子供たちの余計な記憶ごと、あの土地を土の下へ押し込める。いいか、隙間を作るな。神も仏も通さぬ、完璧な拒絶の箱を作れ。」

棟梁は、重い金槌を握りしめた。

彼は知っていた。

子供たちが野原で失くしたのは、おもちゃなんかじゃない。

親に叩かれた夜の悲しみや、誰にも言えない孤独を、
あの影が「身代わり」として預かってくれていたことを。

だが、権力者たちの眼光は、
それを「管理不能な不穏」と決めつけていた。

祠の建立が始まった。

杭が打たれるたび、すすきの波が悲鳴のような音
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