河童伝・第四話「河童を殺した村」/板谷みきょう
それは、三郎の形でした。
腐り、崩れ、もう声も出せぬはずの亡骸が、
まるで“ここにいる”と示すように。
村は、悟りました。
殺したのは、今そこにいるものではない。
“ずっと前に、三郎を殺していた”のだと。
松明は次々と消され、夜は深まりました。
名を持たぬものは、姿を現しませんでした。
ただ、川の水位は、それ以上下がらなかった。
子どもは、元に戻りました。
安心できる結果でした。
……けれど。
翌朝、三郎沼は、完全に干上がっておりました。
水の底には、皿の欠片も、亡骸もない。
残っていたのは、人の足跡だけ。
河童を殺した村は、
これから、何に見られるのか。
その答えを、
村は、まだ知らないのでございます。
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