河童伝・第四話「河童を殺した村」/板谷みきょう
になったことで、“差し出せば救われる”と、人に思わせた。
名を呼び、頼り、使い、最後は美談にした。
「だから……終わらせるしかねぇ。」
その夜、村は決断しました。
子どもを守るため、
これ以上、何も差し出さぬため、
“河童を殺す”と。
人々は松明を持ち、三郎沼へ向かいました。
沼は静かでした。
星も映らぬ水。
水面に、影が一つ浮かび上がります。
三郎ではありません。
名を持たぬもの。
「出ていけ!」
誰かが叫び、石を投げた。
次の瞬間、水が跳ね、影は掻き消えました。
代わりに……沼の底から、泡が上がった。
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