河童伝・第三話「名を呼ばれぬ河童」/板谷みきょう
り小さく、獣より丸く、途中でふっと消えている。
「河童だべか。」
そう言いかけて、皆、口をつぐみました。名を出せば、何かが壊れる気がしたからです。
やがて、困ったことが起きます。
川の水位が、少しずつ、少しずつ下がり始めたのでございます。
氾濫するほどではない。しかし、確実に足りない。井戸の水も、前のようには戻らぬ。
村人たちは焦りました。
「また、三郎に何か頼まねぇと……。」
その言葉が出た瞬間、囲炉裏の火が、ふっと小さくなりました。
火が嫌うのは、名を呼ばれぬものの影。
婆さまだけが、静かに言いました。
「違う。あの子は、頼まれ
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