鯨の声/
伊藤透雪
暗い深海から聞こえる鳴き声
大きな羽ばたきで泡立つ中に
声は海原を渡り遥か遠くへ
唸る声、高い声、ひたすらに
長く、甘く、響き渡る
恋歌か子守歌か、
ゆっくりと波に揺られ聞こえてくる
波と泡の音が混じり
息づかいさえ聞こえるよう
浮き上がってくる巨体で
ダイブする時の荒々しさとは
真逆の切ない歌声
応えが来るのはいつだろう
寂しい一人では哀しすぎる
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