ておてお/歌留多カタリ
 
とに悩まされている
どうしようもないことに怒っている

ておておのときめく春かすみ
ておておのひなた水夏いずこ
ておておの夜空に滲む
背中合わせの貫通銃創の傷跡のように

いつまでも小手をかざして
青空におののき 
哭き
叫び続ける
ておておを待ちながら


いつもいつまでも心穏やかな
あなたとは他の誰でもありはしない
あなたこそ
ておてお
てふてふ
ちょうちょうの空の高みへ
舞い上がるべきなんだ

軽やかに
音もたてずに
生きている
いつもいつまでも
たったひとり
そこにじっとして
羽根を閉ざして

ひとり旅を続けるそのものの温もり
めくられる歴史の葉脈の明礬(みょうばん)の
裏側に乾いたペン先でひっそりと刻印される
あなたというありふれた無名の
透明な息吹に巡りあいたい

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