ふたり生まれ子の夜/ひだかたけし
 
何処までも
澄んだ声が響く
この夕暮れ
西の地平にまた
いつともなく
浮き立ち耀き出す
エメラルドグリーン
そうして薄っすらと
自らのシルエットを晒し
富士の山がたたずんで

明日は確か雪だとか、
やがて闇すら暗む
底冷えする夜の到来

けれども
お前たちは
ふかふかの
お布団のなか、
一心に手のひら
結んだり開いたり
開いたり結んだり

不思議そうに
確かめるように
その動きを見つめ
繰り返し繰り返し
開いたり結んだり
結んだり開いたり

お前たちにだけ
約束された
明日の
白銀の眩さ 、

さあ だからもう
仲良く手のひら合わせ
お眠り 子供たち

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