Notes on The Wasteless Land. ? and ?/田中宏輔2
 
も、「私は一人のアルベヌチーヌのなかに多くのアルベヌチーヌを知っていたから、今も私のかたわらにまだまだ多くの彼女が横たわっているのを見る思いであった。」、「彼女はしばしば私の思いもかけぬ新たな女を創(つく)りだす。たった一人の娘でなく、無数の娘たちを私は所有しているような気がする。」とあるが、たしかに、このような感覚は、ひとが恋愛相手に対して持つ、ある種の戸惑いや躊躇といったものがなぜ生じるのか、と考えれば、不思議でもなんでもない、ごくありふれたふつうの感覚として、たちまち了解されるものであろう。

 ワイルドが、『芸術家としての批評家』の第一部で、「もっとも完璧な芸術とは、人間をその多様性に
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