死への哀悼/杉原詠二(黒髪)
 
を飲み込む死がある
生きることを病に変え
死ぬまでいたぶる悲惨がある
しかし人はそれを悼む
悲しみの中で地獄の中にあってさえ
人は無感覚ではない
たとえ感覚を奪われようとも
生きている息には確かに酸素の喜びがある

どんなに立派に生きようとしても
足が滑って階段から転げ落ちて
死んでしまうかもしれない
その時
無音に包まれ
目は見えなくなる
意識が消失し
やがて心肺機能が停止し
主体はそれで終わり
骨だけが残る

死んだ人を供養するのは
残された生者の務めだ

誰かが
死んだ人は極楽浄土で踊っている
そう夢見た
その夢は伝播して
本当にそうだと
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