ピアノ/TERU MORITA
 
ピアノ

 引力は箱を縛り
 屹立する脚はそれに耐え
 床の軋みは日ごとに増す
 その力から解かれ
 遥か遠く空に届くものは
 箱の囁きのみ
 
 揺り動かされた空気は
 密度を変え
 濃く薄くやがて滲む
 ただ反射のみが
 その形を長らえる術
 
 荒れた地肌を癒す
 露を待つ
 黒壇の木の呼吸
 ひととき
 それは満ちても
 不断の流れは止まず
 記憶を織り重ねて居る
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