予感の年/岡部淳太郎
 
、それが崩壊するのを横目に見ながら、その事実
をつぶやきつづけるだけだ。そして俺は外側の暗い予
感とは関わりなく、既に先に崩壊した者の特権として、
自分だけ勝手な幸福への予感に眼を細めているだろう。
時代よ、勝手に震えているがいい。おまえたちが俺を
散々放置した報いとして、俺は一人で先に行かせても
らう。それへの予感。冬に射しこむ日差しのような、
少しだけ暖かい季節から離れているだけの無縁の光。



(2026年1月)
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