こころを考える日/花野誉
 
母のこころは
壊れかけているのか

まさかの年末に
家族で恐々と

父と妹と私
そして
九ヶ月の赤ちゃん

つたない動きに
つかの間
霧散する
母のこころと
不穏の空気

りん棒で
おりんを鳴らす

反応しない母
音の不思議に
這い寄る赤ん坊

生きているだけで
ストレスという
こころ

生きていることを
まだ
自覚していない
こころ
 
私のこころは
静かに冷えている

昔のこころが
今のこころに
呼びかけてくる


私のこころは
やさしくない

静かで
冷たい壁は
未だに在る

こんなふうな
こころは
美しくない
好きではない

おりんの音が
頭の中で鳴る

こころが
少し鎮まる







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