どうしても上っ面になってしまう言葉/花形新次
 
死者の声に
耳を傾けても
一向に何も聞こえない
もう向こう側に近い
人間だと思っているのに
どうしたものだろうか

死んでしまっても構わない
そう思っている

あの人に会うことは
決してないと
分かってしまったから

生涯を
この人に捧げると
誓った15の春を
振り返ることだけに
時間を費やすのなら

もう何もかも
終わりにしてしまう方がマシだ

言葉の上っ面を撫でて
悦に入ってるような
お遊びは止めにして

あの人を含めた
この祖国に
捧げるような機会を
永久に与えられない
この命は
消えてなくなったって
惜しくはない

そう思っている

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