星へ祈る/
花野誉
冷気で顔が痛い
町中のベランダにも
深い冬が来ている
ベランダから見える星
近視の私でも見える星
見惚れて
寒いのに部屋に戻れない
あの人も見ているといいな
勝手な想いだと
思わず笑ってしまう
でも、ほんとう
そんな日もあっていいでしょう
寂しさや
日々の苦しみに包まれて
憂いてしまわないように
あなたを想う人も
この世にいますよ、と
星に祈る
肩を組んで
いっしょに
星を見ましょう、と
この空を
ずっと見上げている
戻る
編
削
Point
(14)