天推し/百富
市役所のかた。泣く想いでドアーを両手で押す勢いで開いた自動ドアーのさきにいらっしゃった保健所のかた。警察のかたは、どのかたも兄ちゃんとお呼びしたいくらいの切実な印象で。
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なんだなんだと、想いつつ、気がつくと、この場所に長居する気持ちが膨らみ、死ぬほどの傷みすら、心置きなく美徳と語ることのできるほど、一瞬で目から鱗がおちてゆく。
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きれいなもんだなぁ、きれいなものだとおもいます、想わず、桂ざこばさんが、お師匠さまである米朝さんの死について語られた名言が浮かぶ。
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素直さって、唯一のごとくきれいなものだ。桂米朝さんの落語で、ぼくのいちばんすきなお話しは
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