たとえばその日/ホロウ・シカエルボク
んざりするくらい存在するのだ、朝食を終える、ニュースを見ることを止め、動画サイトで懐かしい音楽を少しの間楽しんで、それから食器を洗う、食事を終えた後のキッチンはいつでもしんとしているように感じる、ひとつの動作が終了すると、場所はいっとき意味を失くすのかもしれない、そう考えると人間の存在なんて曖昧なものだ、自分自身のテリトリーでさえここに居たり、あそこに居たり、もしも自室に居る時に誰かがキッチンを覗いたとしたら、ここの主は留守なのだろうかと思うだろう、そして俺はその認識を訂正するどころか、そう思われたという事実すら知らずにのんびりしているのだ、それはつまるところ人間関係というものの本質でもある、目に
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