たとえばその日/ホロウ・シカエルボク
 

明け方近く、二十四時間営業のストアーで買物を済ませて帰宅途中だった女が日本車に轢かれたってネット配信のニュース番組で知った、それは十二月の寒い朝を少しも揺るがせはしなかった、ああ、可哀想に、と一瞬思って忘れただけだった、誰かの死なんてどこにでもあるし、聞き流してしまえる程度には慣れてしまわないと街ではやっていけない、今日は電車で出かけようと思っていたけれど気が変わるかもしれない、気分屋が悪い方に作用しそうな気がしていた、だからといって抗いたいような気持でもなかった、結局のところ身体が求める方に動かなければ居心地の悪さがいつまでもつきまとう、気分屋だからって別に自由に生きているわけじゃない、時に
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