はじめての赤ちゃん(story)/百(ももと読みます)
 
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 砂丘に風が吹いている。笑顔のかたちのかれの背骨が浮かびあがる。折り曲げられた指さきは月のダークサイドへと向かって影を伸ばしてゆく。



 逆さまにさかなのはねる音がしてふり向いた矢先に貝がらみたいにしんぢゃって出逢えた瞬間からずっと笑顔でしんでいるようなひと。



 回転木馬に乗りながらふたりでおにぎり食べるようなことなどを永遠みたいにしてみたかった。アバンチュールのゆきさきは米つぶばかりの星を遺して渇いてへしゃげていってしまった。



 そう。子宮のなかの天使の闇があかりに照らされて産まれるものの命のお名前をわたしはとても知りたかったのだ。


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