ノルウェー舞曲/牛坂夏輝
 
の中で催眠術にかけることである

清潔な氷
そのような皮膚
そのような営みと嵐の決定的な試み

彼は縞模様の液状化した視点をちらし
曖昧模糊とした南の国のテーブルクロスを想う
その青年たちの臓物の内部にある
敢然としたアルペジオのような
砂の気配が
獣たちの言語に翻訳されて
静かに高鳴る

長い現実が痩せる
火打石を食べる

青白い毛の生えた指が溶ける

音楽がやむ
私はひとりで焼かれた畑の胴体に座っている
雪は柔らかい巻貝の代用品として
肩に降り積もる

舞曲の終わりに
そっと差し込まれた
淡い青の
計算された肺の中の退廃のような
余白が
どこか遠くの国の人の
耳の中の奇妙な傷口で
少年の微かな
ほとんど聞こえない笑い声として
凍り付くことなく
存在する

そのような気配だけが部屋に残された

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