セカイハキエタ/yuma
世界は消えた。
今は、僕と言う個人が個人としてのアイデンティティとやらを活用し生成した【空間】とやらで
僕と言う個人は生きているらしい。
僕と言う空間には僕以外の誰もが不可侵であり、侵入は不可能なんだそうだ。
不用意に誰かに侵入されると、侵食するか侵食されるか中和されるかして
僕と言う個人は消えてしまうらしい。
とりあえず、それはなんだか駄目な事なんだと言われた覚えがある。
僕と言う空間には僕と言う人格を生成した数々の本やTVやビデオが転がっている。
僕をこれから生成する本やTVやビデオは金庫にしまってある。
僕と言う空間の唯一、僕じゃない空間に紙が置いてあって
そこに、僕を生成する何かを金庫から取り出す時間がかかれている。
そこに、書いてある時間以外に金庫を開けるのはいけないらしい。
それから、僕と言う個人が生成した僕と言う空間の中の僕と言う人格を生成した数々の人々は
ここにはいられないので、ビデオやらDVDやら写真やらが残っている。
それに、金庫には人は入らないのでこれからの僕と言う人格を生成する人間はいないんだそうだ。
世界は消えた。
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