GHOST/mj
思い出した。
殺された女の子とはいろんな話をした。ヴァイオリンを習いたかった、とか、自転車が好きだった、とか。
女の子はもうすでに死んでしまったあとのことだ。
それでも世界から手繰るように、このイカれ気味のあたまが、彼女の思い出を再生させてくれた。
一緒にカフェに行ったりもしたし、海を見に行ったこともあった。ささやかな静かな思い出だ。
彼のそんなこまやかな思い出たちは、次第に雪のように消えていくのだった。彼自身も、この数々の犠牲の上に成り立った摩天楼の幻として、消えてゆく運命だ。
またどこかで次の生があるのか?ビルディングを軽く跳び上がり、夕陽が射している隣の建物へとうつる。
永遠を感じれた。彼女のことを好きだと思った。
偽史と電磁波まみれのここ。
もうこの地球は死んでしまっている。思い出がさまよい消えてゆく。けれど、革命は成功したのだ。そう、ぼくたちは消えてゆかなければいけない。
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