ランドン/牛坂夏輝
だったような。
「どうして、ランドンは、ソーセージに、
ハチミツをたくさん塗らないの?」
鳴り響くサイレンに、
契約したと主張する恋人たちは、
この波間、
あるいはこの武器庫の火になり得る誕生日も、
いつかはランドンのようになるのだと、
偽りの声を用いながら
話した。
石灰の激怒に青ざめる義務、
お気に入りの空、
エーデルワイスのような他者の飢餓、
どうして
本質的な恐怖以前の議論を、
支配者の小径が
求めるのか。
村の人はランドンの靴しか見たことがない。
雨の皮膚を剥いで作った、特別な靴だった。
不可解。
「どうして、ランドンは生ま
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