すすき野原で見た狐(下巻)/板谷みきょう
風に漂い、月明かりが山を照らす。狐の瞳には、与一の愛を守り続ける静かな決意が宿り、すすき野原は、その思いごと音もなく抱きしめるように静寂に包まれた。
終章:永遠に響く孤独
野原に残されたのは、苺の甘い香りと、狐の静かな存在、そして、畑に芽吹く新しい生命だけだった。
狐は与一の姿に化け――その日から、「与一」として社を守り、畑を耕し始めた。その姿は、本物の与一と寸分違わない。
村人たちは、遠くの峰で倒れた「真の与一」と、今社で暮らす「愛を抱えた与一」の真実を知ることはない。誰も口を開かず、ただ心の奥で――遅れて訪れた感謝と後悔を噛み締める。
夜風に揺れるすすきの間で、狐の耳がかすかに動く。静かな呼吸が野原に溶けていった。
二つの孤独は重なり合い、一つの永遠に生き続ける愛の物語として、村の奥深くで静かに響き続けた。
原作「すすき野原で見た狐」を修正しました
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