道化人形(修正版)/板谷みきょう
細くなり、窓の端へと移ると、人形は焦って回り、逆立ちを続けました。
そして――
ガタン!
箪笥の上から落ち、腕が外れ、首が落ち、体は砕け散りました。
けれど、その顔には、穏やかな笑みが残っていました。
月に向かって、「ありがとう」と伝えられたからです。
淡い光は、人形の破片ひとつひとつに触れ、世界のどこかで耐える心へそっと届きます。
優しさは、消えない。
静かな愛は、証拠を必要としない。
誰かを思い続けた気持ちは、夜の底で光り続ける――。
その光だけが、砕けた道化人形のそばに、永遠のように残されていました。
※原作「道化人形」を修正しました
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