クリスマスプレゼント(修正版)/板谷みきょう
 
じいさんは窓を開けてくれるように頼みました。
外は、冬の星々がきびしくも美しく瞬いています。最後に残ってくれた人々の顔を、一人ひとり静かに見つめて、彼はそっと言いました。

「ありがとう。」

そして目を閉じました。



そのとき、神さまが静かに迎えに現れました。
見守る人々には、その姿は見えません。
「お前が探し求めた透明な薔薇は、この世の誰の胸にも咲いていなかった。だが、それでよい。この世の真の献身は、『必要とされる』形では現れないものだから。」
おじいさんは、ゆっくり瞼を上げました。

おじいさんの顔に、静かな微笑みが広がります。
その微笑みは、春の陽だまり
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