クリスマスプレゼント(修正版)/板谷みきょう
して、願いを一つだけ叶えてやろう。」
おじいさんは、ほんの一瞬、自分の病が消えることを願いました。しかし、ふと心の奥に問いかけました。
「私は本当に、誰かのために生きられたのだろうか。そうでなければ、生きることは、ただ、空しいだけだ。」
やがて彼は静かに願いました。
「明日のクリスマスに、わたしを心の奥で必要としているすべての人々の胸に、私にだけ見える、一輪の、清らかな透明な薔薇を咲かせてください。」
神さまは、微笑むようにうなずき、闇に溶けていきました。
*
翌朝。
凍てつく床から体を起こしたおじいさんは、まだ重い体を引きずり、町を歩きました。時計を直すたびに、店先に立つ
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