クリスマスプレゼント(修正版)/板谷みきょう
立つ子どもたちを、通りを行き交う人々を、静かに見つめました。けれど、胸に透明な薔薇をつけている人は、誰ひとりとしていません。あれほど助けてくれた近所の人の胸にも、ありませんでした。それでもおじいさんは、疲れや絶望の中で、一筋の希望の光を信じ、町の路地裏や袋小路まで探しました。
夕暮れが町を覆い、雪がしんしんと降る頃、ようやくおじいさんは家に戻りました。世話をしに来てくれていた人たちは、疲れた顔で、灯りを囲みながら静かに座っていました。その顔には、心のやさしさが滲んでいました。
医者はそっと告げました。
「……クリスマスの夜を越える力は、もう残っていないかもしれません。」
おじい
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