ちっぽけなラブレター/りつ
ありがとう
優しいひと
宛先のない手紙を空に向けて飛ばす
風が想いを運んでくれる
逢いたいと願うだけでは
足らなかったの?
自分が自分を邪魔するように
伸びすぎた前髪が視界を遮るから
真っ直ぐに見ることが難しい
せめてことばだけでも
どんなに切実な願いを込めても
ネットの河は流れ続ける
忘れてしまっても良い
細やかな
ちっぽけな切れ端のラブレターなど
webというのが幻想だとしても
蜘蛛の巣のように
絡めとって
押し留めたかった
痩せ細っても
三日月も月なのです
ねぇ、いつか帰ろう
わたしたちがわたしたちで居られる場所に
そこは白い烏ばかりだから
毛色が違ってても
誰も咎めない
そんな擦れ違いのことばが寂しくなって
わたしはひとりで
泣くのです
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