冬の麻薬/花野誉
「こたつは麻薬や」
あなたは そう呟いて
こたつから抜け出した
まるで逃げだすように
不覚にも長い昼寝に陥り
試験勉強を邪魔された──
あなたの言い様
こたつに悪気はないのに
私はその?麻薬?に浸かりながら
お茶を飲んだり
本を読んだり
映画を観たり
詩を書いたり
逃げだすなんて
とんでもない
この世の天国かと思う
こたつは
私を甘やかす
一番のお得意さん
まだまだ
冬はこれから
こたつで鍋
こたつで熱燗
こたつでうたた寝
その可能性は無限に広がる
冬のこたつは
これだからやめられない
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