風邪/
ただのみきや
獏とした 秋の
あわい天幕から
剥がれ落ちたか
光はつもるほど
景色から重さを奪い
ふっと 舞い降りた
枯葉の小舟
蜘蛛の仔を乗せ
銀の糸かそけく
固くほどけぬ結び目に
娘の頬は上気して
買ったばかりのノートから
鮮やかに
はみ出した
ことばの夢を弄ぶ
遠く夜をふり返り
こと切れた
あの鈴の音
くちびるの
どこか仄暗いところ
(2025年11月16日)
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