ふりつづく夏の雫に/竹節一二三
 
雨は嫌いだ
なんてうそぶきながら
ちいさな人らが踊り始める
あかやあおやきいろやみどりの
ちいさな傘をくるくる回して
水溜りに波紋をつくる

ステップ ターン ステップ
ちいさな人らの踊りは
あかるく水の中にきらめき
傘と同じ色のながぐつで
ぱちゃりと雫をとばす
夏を迎える春の涙
静かな冷たい明日への希望

一日中 朝も昼も夜もなく
冬が終わってから今まで
回し続けた歯車には
雪解け水と春の汗が
染み付いてきしんでいる

ぱちゃり ぱちゃん ぱちゃり

夏を迎える為の
春の踊り
ちいさな人たちは空を見上げた
あかやあおや
きいろやみどりの
淡い ひかり

やわらかな匂いは
みどりの風におくられる
冬がすぎたら 
また
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