寂しい夜/秋葉竹
 



困難や危険を承知で清らかな
月で飛びたい闇夜の鴉



絶景を楽しむなんて少しだけ
傲慢みたいな気がする渓谷



みんな来て寂しい夜を慰めて
あげて欲しいな羊がいっぴき



秋空にこぼれるような星があり
ひとつでいいから落ちるのを待つ



殻を棄て心の深い闇を知り
逃げたいほどの無力に怯える



罪を知り悲しみを知り目を閉じて
返り血あびて微笑みたいな



ひとがみな海の底までゆけるとは
信じていない凪の白昼








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