目覚まし時計/
泡沫の僕
閉じた目は漏れる朝日を見ている。
そう、始まりが来たのを知っているんだ。
意識は閉じたふりをする。
虚無が訪れたのを悟っているから。
目玉焼きの爆ぜる音、白味噌が甘い香りを漂わせたら…
そんな短い夢を終わらせまいとしても
枕を抱いた手が、失った温もりを思い出す。
ここで泣いているのは、鳴り響く目覚まし時計。
戻る
編
削
Point
(2)