目覚まし時計/泡沫の僕
 
閉じた目は漏れる朝日を見ている。
そう、始まりが来たのを知っているんだ。
意識は閉じたふりをする。
虚無が訪れたのを悟っているから。

目玉焼きの爆ぜる音、白味噌が甘い香りを漂わせたら…
そんな短い夢を終わらせまいとしても
枕を抱いた手が、失った温もりを思い出す。

ここで泣いているのは、鳴り響く目覚まし時計。
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