預託/中沢人鳥
 
晴れ
石を掴んで遠くに投げた
空が鈍い
あの雲と石が重なる頃
もう空は暗かった
枯山水の一部として着地した石
庭先のハクセキレイに
何かしらの願い事を
確かな輪郭を託して渡した
石を泳ぐサメに雨粒を
雨粒は道路にひびを
そのひびに藤の花
割れた地面を接着する
その足跡に
まだ定義できていない
祈りを預けて
声を預けて
灯を預けて
喜びと悲哀、
それか憤怒と空虚、
あるいは呼吸を預けて
昨日の景色を捨ておいて
明日を預ける
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