疑いようもないわたしたち(悩み多き感情たちの詩 その5)/涙(ルイ)
さいって云って
弟の手を引いて行ったまんま
二度と戻っては来ず
ぽつんとそのまま 置き去りにされてしまっても
長いトイレから戻ってきたお父さんが
ひとりぽつんといるわたしを見ても
特に驚いているようにも見えないと感じてしまっても
お父さんと二人きりの暮らしになって
お父さんに新しい女の人が出来ても
あんまりかまってはくれなかったけど
忙しくってそれどころじゃないんだろうなって
素直ちゃんは何も疑いもせず
ただ素直にその状況を受け入れていました
息を吐くように嘘ばかりついている嘘つきくん
素直ちゃんとは保育園のときからのたったひとりの幼馴染で
とても仲が良かったのですが
何も疑うことを知らない素直ちゃんを
いつもからかっては
嘘つきくんは面白がってばかりいました
けれども素直ちゃんは
そんな嘘つきくんの嘘もからかいも
嘘だとは面白がってるなんて
疑がいもしないのです
何故かと云うと
嘘をついている嘘つきくんその人自身は
本当だと云うことがわかっているから
なのでした
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