ガードレール/秋葉竹
 

 

弱いことは悪いのだと
固く信じた春がある

疾しい心は病んでいると
騙されかけた春がある

そこにはじぶんなんて
これっぽっちもいなくて

そうやってじぶんを騙してゆくことが
世界の空気に溺れないための方法論だった

その中で崩れ落ちるまっすぐな正義とか
片腹痛い優しさぶった白い安心とか

ガードレールをおもいっきり蹴飛ばして
あいたたたたた、とか

ホントは涙を止めたくてやってんのに
ガードレールに逆に泣かされてんでやんの

信じられるひとに裏切られた夜だけは
ガードレールを蹴飛ばしてもいいんだよ?

そのかわりはげしく泣くことになる
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