生き続けるほど運命は奇異なものだとわかる/ホロウ・シカエルボク
 
めて買物に出掛けることにした、財布とスマホをポケットに入れて靴を履き、玄関の鍵を開けたときに、午後の太陽が優しく俺の目を刺した、太陽の光というのはこんなに明るかったっけ、俺は首を捻りながら外から鍵を掛け、繁華街へと向けて歩いた、野良犬がにやにやと笑いながらずっと俺の顔を見ていた、それが何故かなんて俺にわかるはずもなかった。パンでも持ってれば投げてやったんだけどな、俺はそいつにじゃあなと挨拶をして長い信号を渡った、俺の後ろを歩いていた若い女が強引に左折しようとした車の前輪に巻き込まれて人形のように車道の上で回転した。


戻る   Point(2)