生き続けるほど運命は奇異なものだとわかる/ホロウ・シカエルボク
 
た、けれどそのためにはまず、くたばりつつある思考をクリアにする方法を明らかにしなければならなかったのだ、要するにそこに縋る意味はなかった、気が抜けて力を抜き、目を閉じた、俺はすべてを諦めたのだ、腕がだらりとソファーの下に落ちた、指先になにかが当たる、拾い上げてみると埃をかぶったブラックコーヒーのショート缶だった、シャツで埃を拭き、迷うことなくプルタブを引いて飲み干した、どうしてそんな缶がそんなところにあったのか、まったく思い出すことが出来なかった、まともなものじゃないかもしれなかった、でもそれをまた放り出すと間違いなくまた死に一歩近づくだろうという確信があった、生温いコーヒーが渇き切った体内を塗り
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