庭/秋葉竹
庭に雑草が生え
それでもかれらも懸命に生きているんだから
とかテキトーないいわけして
日々その成長を眺めていた
ふと目のなかに入ったのは
一輪の茶色の花弁を持った花だった
ちいさな
よく気をつけてみないと
み逃してしまうほど目立たない
ちいさなちいさな花だった
意を決して庭の草抜きをした
晩夏
汗にまみれながらやり終えて
その茶色い一輪だけの花をみた
なんだかくたびれただれかさんみたい
そう想った瞬間
その花を抜いていた
ゴミ袋の中に
ほかの雑草と同じように棄てた
庭は少しは綺麗になった
庭に一本ある
金木犀だけはいつのまにかに
2階に届くほど大きくなっている
こいつもそのうち切ってやる
子どもの頃教科書で読んだ
『鬼婆の笑い』を
わたしは笑った
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