赤色を手放す/這 いずる
こんななの、私はこんななの、
だれに
繰り返し繰り返し
大丈夫
わたしの幸せな
夢の中のできごとだけど
海の香る街で
遠くの工場の煙突を見た
たなびいて夕日で赤くゆらゆらして
夕焼けも海に綺麗に沈んで
そんなのまだ、みたことない
みてない
私の幸せな夜の虚ろなこと
情緒が壊れていくのが
自業自得と笑われている
形作った好き
切り崩されていく
キラキラきらきら
硝子が光って
自分を壊すのに
一回しか使ってない
アデリアレトロのグラスが売れて
梱包する
夕日を映した赤の
現実で手放す分の淋しさが
煙突が見たいと願わせる
大丈夫
手元に落とした息が
泣いていない
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