美女ナルキッシーナ/ただのみきや
 
水草の
 根のむすぼれる泥深く
眠る白骨(しらほね)
  うつつを夢む

ひろわれた
 翡翠のような沈黙を
胎児はのぼる
  影をまとって

朝日差し
 八重の蓮花色恋香(はすはないろこいか)
蜘蛛を隠して
  蝶と交わる

水鏡
 とろかすように浮かびでて
仔蛇の舌で
  細くさえずり

閉ざされた
 園の噴水そっと触れ
花をニンフへ
  ふたたび戻す

その目が見
 ものみな孕みその舌が
なぞるものみな
  詩(うた)へと変わる


           (2025年10月22日)






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