帰宅バス/
栗栖真理亜
淀んだ空気
疲れ顔が並ぶバスの車内
薄暗がりに襲う眠気と戦いながら
ただひたすら目的地への到着を
待ち望んでいる
一見色とりどり
華やかで楽しそうな広告も
胸の内で帰宅を急ぐ乗客にとっては
ただの飾られた紙でしかない
車内に佇む人も座席も手すりも
運転席の機器ですら
足早に過ぎ去る時間に
見事に溶け込んでいた
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