全行引用による自伝詩。 05/田中宏輔2
 
の痛みが忌わしい悪として語られている。おそらく歯痛が卑俗なものであるからだと思うが、それにしても上記の三作がいずれも優雅、上品、洗練された小説であるというのも奇妙なことである。それにひきかえ、結核のほうは文学作品の中で、克明に描き出されている。(…)
(カブレラ=インファンテ『亡き王子のためのハバーナ』変容の館、木村榮一訳)
 ベルナンド・イグレシアスは、教会を意味するイグレシアスという名をもちながら、ついにその名に救われることはなかったが、考えてみると教会というものは人を救ったりはしないものだ。
(カブレラ=インファンテ『亡き王子のためのハバーナ』すべてが愛を打ち破る、木村榮一訳)
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