どしゃ降りの雨の中を/花形新次
 
中途半端な感情が
肝心なものを置き去りにして
通り過ぎて行く

ほんの数年の間だけ訪れる
黄金の日々に
大抵の人は気付かない

あの頃は
と懐かしがっても
もうきらびやかな皮膚も髪も
瞳の輝きすら
戻って来やしないのさ

窓の外は
どしゃ降りの雨だ

傘を忘れて
駅に足止めを食らっている
少女

忘れないで欲しい
きみは誰にも知られずに
雨が降り止むのを
待っているわけではないことを

「濡れているのは
いつまでも
白いブラウスだけだ」

僕だけが
透けたブラを見ている




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