名づけ得ぬ詩草/道草次郎
 
みんながみんなのなかの何かを
だいじにおもい時にそれをいとしがっている
(そんなものはちっとも無いという誰かもあわれにうつくしい)
そのことを想うと
一々
ぼくというでしゃばりは要らない気がする

ふぅっと消えて
他我も失せ
やがては
きえるもきえ
みんながみんなのなかで
小さなものを大事がるのだけが残る

残るものは
やはりうつくしい

花が咲く
水がながれる
まるで
それは
そのようである



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