ケイヴ/おまる
 
、つま先に至るまで夥しい熱を蔵していると感じられた。瞳くんはマキちゃんの手を取って、自らの肉体の最も熱い部分に導き、握りしめさせた。「すごいだろ?」と瞳くんはいった。「全然すごくない」とマキちゃんはいった。しかしそれは脈打って、生き生きとしたものを絶えず瞳くんの内部へ流入させている存在だった。




朝になろうとしていた。いぜんとして街は煌々としていた。あの青白い地平線の向こうの世界とは何の関係もないというような姿だ!頭上にカラスの鳴き声が聞こえたので眼をあげてみた。淡い星空に数羽が飛んでいくのが見えた。

しかし汚ねぇ街だ。二人は外へ出、地下鉄のホームへ向かった。枯れた並木
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