全行引用による自伝詩。 03/田中宏輔2
 
のような良心というやつだ。野球の一投のように長生きした亀のようにしぶといやつがうごめいているのだ。あらゆる感覚をとおして、おーいイギリス人みたいな猟の名人、こいつはカモだぞという。知性をとおして、空に漂い餌にありついたことのない鷹のような倦怠が、この仕事がすめばまた襲ってくるぞとささやく。神経をとおしては、アドレナリンの流れが止んで、吐き気がはじまるのを嘲笑してくる。網膜の奥の名匠は、自分を含めた光景の美しさを言葉巧みに押しつけてくる。
(ブライアン・オールディス『哀れ小さき戦士!』井上一夫訳)

 決定のあり様は、また一般に思考の形式は、決定あるいは思考それ自体なのであって、それは正しい問
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