九月散歩/塔野夏子
 
僕らは歩く
九月のふちを
ほろほろと崩しながら

重い夏が過ぎたあとに
おとずれるはずだった
空虚
さえ失われて

行き場をなくした僕らの
可憐な破壊衝動が
あかるい空へ
微細な泡になって
立ちのぼってしまう

伝えあいたしかめあった
言葉たちさえ
いつか生まれていた隙間に
みんな零れ落ちて
しまうとしても

僕らはまた歩く
九月のふちのように
ほろほろと崩れながら


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