リトルブレイン/おまる
 
つける薬がない」のだ。

何にも考えずに済むのが、サラリーマンのよいところというか悪いところというか、悩む前に忙殺されちゃうってのは、ある意味しあわせなのだろうが、朝に茫然としながら起きて、いつもと同じ時間の電車に乗って、オフィスの入り口でもう一度うつけてびっくりした経験がある。そういう日でも不思議と事務能力は低下せず、むしろ不思議と能率がよかったりして、つまりはサラリーマンというものは、茫然自失してからが勝負なのである。

その時、オフィスの時刻は終電近く、おれ以外に他数名しか居り合せていなかった。うしろの島に、後輩の女の子がいた。その子は"本家"と名字が同じなので「
[次のページ]
戻る   Point(4)